マカロンのピエっ何?ピエが出る原理を教えて!
マカロンのピエって何ですか?
マカロンはこのピエが無いと、シルエットがいまいち悪く、インスタで映えないw
が、しかし出過ぎる場合もあり、それはそれで、いまいち美しくない
古くから伝統を守るショップでは、ピエは少ないほうがいいという考え方の店もあるので、
ピエが必ずしも高いほうが絶対良い!というわけでもない。
ピエが高いということは、マカロンコックの粉類の配合分量の比率を変えて、
物理的に、何かしらの工夫がされているから、高さのあるピエのシルエットを演出しています。
味や、配合分量の比率を重視すれば、ピエが低くなっても当然なので、
味や、レシピを守るか、シルエットを取るか、
考え方は、パティスリーの理念に基づき、さまざまかと思いますが、
まぁ、可愛いシルエットが良いよね〜。
ピエはどうして出るの?原理を教えて!
マカロナージュした生地を乾燥させて、表皮の卵白を固めて被膜を作ることで、
オーブンの焼成時に、内部の生地が膨張して、内部の生地は外側に出たいのだけれど、
表面が焼き固まっていて硬く、生地が上方向に出ることが出来ずに、
下側からしか膨張できず、マカロンの下側から飛び出して、ピエを作ります。
では、生地の内部はどうなっているでしょうか?マカロンコックの材料はパウダーを入れなければ、主に4種類しかないので、
マカロンコックを構成する素材は、
卵白とグラニュー糖(メレンゲ)と、純粉糖とアーモンドプードル
ですね?
では、これが、乾燥したあと、オーブンに入れて、
160℃で焼き始めるとどうなるでしょうか?
僕は以下のように考えています。
この図を見て欲しいですが、
- グラニュー糖でコーティングされたメレンゲ(卵白)の気泡は、オーブン温度が上がることで、被膜の内側で熱膨張します。
- アーモンドプードルも膨張したメレンゲ(卵白)の気泡に押されて多少は上下に移動するが、純粉糖より粒子が大きい為、純粉糖よりは移動量は少ないと思う。
- オーブン初期の2分~9分の間で、表皮は完全に焼き固まってしまいますが、内部の生地はまだ焼き固まってはおらず、膨張したいメレンゲの気泡と、あまり動けないアーモンドプードルの粒子により、マカロンコック内の密度が上がり、(卵白を吸収して液化し)行き場がなくなった粒子の細かい純粉糖たちは、唯一出口の下側から外に出ようとして、5~9分の間に生地を持ち上げて、ピエを構成します。
純粉糖がピエに影響を与える理由
何度も言いますが、
マカロンコックを構成する素材は、
卵白、アーモンドプードル、純粉糖、グラニュー糖
の4つです。
この中で、ピエに大きく影響する素材は、アーモンドプードルと粉糖だと僕は考えています。
イタリアンメレンゲや、スイスメレンゲで作るメレンゲでは、
グラニュー糖は、メレンゲ作りの時に、卵白に溶け込んでしまい、
解けたグラニュー糖がメレンゲの気泡を包み込んでコーティングしますが、
粉糖はマカロナージュすると、生地に溶け込み、
卵白の水分は吸収しますが、メレンゲのように気泡ではありません。
粉糖はこのマカロナージュした状態だと、おそらく、卵白(潰されたメレンゲ)の水分を吸って砂糖水のような流動性のある状態だと思います。
ということは、
膨張するのは、マカロナージュで潰れなかったメレンゲの気泡が熱で膨張し、
潰されたメレンゲの卵白の水分を吸収した粉糖は、生地内部をよく動いてピエを作り出す
という事じゃないかな〜?
と考えます。
ということはですよ、
粉糖を多くすれば、卵白の水分を吸った粉糖が下方向に集まりやすく、ピエを多くします。
アーモンドプードルがピエに影響を与える理由
では、アーモンドプードルについてはどうでしょう?
アーモンドプードルも生地内部で動いているとは思いますが、粉糖の方が移動量が多いと思う。
アーモンドプードル自体は焼いても、水分を吸収して膨張したりもしないので、
それは卵白量や粉糖に比べたら、ピエに対する影響は低いものと思います。
(アーモンドプードルは、油分が多かったり、油分が染み出る!という人もいますが、僕は染み出たのを見たことが無いので分かりません。)
ただ、アーモンドプードルがピエに影響を与えるとすれば、その量だと思います。
アーモンドプードルの量が多ければ、当然、生地の内部の密度が高いので、
粉糖も生地の内部の密度が高いので、行き場を失いやすく、下方向に逃げた粉糖がピエとなって、ピエはたくさん出ると思います。
というわけで、
ピエの高さを左右する主原因となるのは、生地の中を泳いだ粉糖の量とアーモンドプードルの量による生地内部の密度だと思います。
(アーモンドプードルも多ければ多いほど生地の内部密度が高くなり、粉糖はした方向に移動しやすいからピエはよく出るでしょう。)
逆に言えば、卵白量を減らすということですね。
ちなみグラニュー糖の量を多くすると、気泡のコーティング量が増えて表皮がベトベトになります。(笑)
なので、粉糖やアーモンドプードルを多く入れる過ぎると、ピエの出る量が増えますが、
逆に出過ぎてシルエットが悪くなることもあります。
ドアをオープンする理由は何?いつドアを開ければいいの?
焼成中、ピエが出た、このとき、ドアをサッと、オープンして
、オーブン庫内に充満した蒸発ガスを抜き、空気を入れ替えてあげることで、
庫内の蒸発した水分量を減らして、
ピエや、生地の乾燥を早めて、持ち上がったピエをなるべく早く乾燥させて、
生地を焼き固めます。
その為にドアを一瞬オープンさせます。
(業務用オーブンのように実庫内温度が一定で下がらないのであれば、
ピエは持ち上がった後、オーブンは開けっぱにしておきたいけど、
そうすると今度は、実庫内温度が下がってしまう為、
家庭のオーブンだと開けときたいけど、ずっとは開けれないので、
サッと数秒だけ開けます。)
初期温度150~160℃でピエが完全に出て、ドアオープンして蒸発ガスを抜いた後は、
の生地を130℃で時間をかけて焼き固めて、
内部の水分量を無くして、温度が下がったときにピエが再び下がるのを防ぎます。
マカロナージュまでが正しくできているのであれば、
焼成で、重要なのは、ドアオープンのタイミングと時間だと思います。
- 長時間ドアを開け続けるとオーブン温度が下がってしまい、熱膨張したメレンゲが今度は収縮してトップが凹む可能性がある
- ドアを開けるタイミングが早すぎると、実庫内温度が下がったり、生地内部の水分量が下がって、ピエの動きが悪くなり、ピエが出ない可能性もある
ドアオープンは早すぎてもダメだし、
遅すぎると、メレンゲが膨張し過ぎて、ひび割れるかもしれません。
開放時間が長すぎると、膨張した卵白が冷めて収縮するリスクもあります。
高温が続くと焼け色も付くしね〜。
なので、ピエが出きったら、迷わず一瞬、サッと開けて生地を確認すると良いと思う。
- ピエが出きった瞬間 もうこれ以上上がらないだろうな~というところ
- 開けてる時間は1秒~10秒以下くらいまでの数秒が体感的に目安 これ以上は庫内温度が下がってしまう危険性がある
- 30秒以上開けてると実庫内温度が下がってだいぶ危険w
- ドアを開けても電源が切れないオーブントースターは、ちらっとドアを少しだけ開けといてもいいかもね(庫内温度が下がらない程度に)
天板を2枚から1枚に減らしたり、焼け色対策でアルミ箔をかぶせたりして、その間にもたもたしてると、
オーブン庫内温度が下がって、メレンゲの膨張が収縮して、焼き固まっていれば良いが、最悪ピエが下がったり、トップが凹んだりすることもありますね。(←何回もやらかしてる人w
レシピ通り作ったけど、ピエがあまり出なかった!なんで?失敗の原因とは?
焼いてもピエが出ない!?なんで?その理由とは?
ピエが出ない理由は、色々あると思いますが、
一番多い理由は、乾燥不足だろうなぁと思います。
乾燥不足だと、内部の生地はどうなるでしょうか?
- 乾燥不足だと、表皮が柔らかいので、メレンゲの気泡が膨張しやすく、膨張した気泡が表皮を突き破る(ひび割れる)
- 乾燥不足の場合、純粉糖は、下方向だけでなく、ひび割れた表皮の上方向にも移動できて、生地内部にゆとりのスペースがある(←生地内部の密度が下がる)ので、純粉糖は上にも下にも移動でき、ピエを作ることができない(または少ししかピエが出ない)
- ちなみに、リンナイのガスオーブンの弱点は、コンベクションの熱風をOFFにできないこと この熱風が局部的に生地に高温の風が当たり、当たった部分だけ熱膨張率を高くして、正しく乾燥してても生地を突き破る 対流しているので、遮断してもどこかのマカロンに熱風が当たる(当たりやすい)
その結果、表皮がひび割れて、ピエが出ない(もしくはピエが低い)んだなコレw
という理由。
だから、ひび割れたマカロンはピエが出ないんですよw
分かりましたか?
- オーブンの予熱時間が少なかったり、オーブンの設定温度が低く、さらに庫内温度が思ってたより実は低くて、実庫内温度が低かったために、初期温度160℃に設定はしてたけど、熱膨張率が低く、ピエが出ない
- 卵白の状態やメレンゲ作りがテキトー過ぎて良くない為、気泡のキメが大きく細かくないのど、熱膨張率が高く、ひび割れてピエが出ない
- マカロナージュ不足で気泡量が多すぎて、メレンゲが膨張しまくって、ひび割れてピエが出ない
- マカロナージュ過多で、メレンゲの気泡量が足りず、卵白が液化しまくって、メレンゲの気泡量が少なく膨張してもピエが出ない
- 乾燥卵白を入れすぎて水分量が足りず、ひび割れた
- 乾燥時間が長すぎて水分量が足りず、ひび割れた
ピエが出ない理由やひび割れる理由は、そのあたりが多いのではないでしょうか?
まー、何にせよ、ピエが出ないには、ピエが出たくない理由があると思います。
何度やっても失敗する人は、実庫内温度計を買ってみることをお勧めします。
マカロナージュで失敗する人は、ハンドミキサーをもっとハイパワー高回転の物に変えてみるとか、
安くても良いのでスタンドミキサーを使うとか、卵白を見直すとかしてみると良いかと思います。
また、オーブンについては、
安い電気オーブンやトースターは時間も温度も予熱完了のタイミングもマジで合ってないと思います(笑)
設定温度とか、時間もあまり信用しちゃぁいかんと思います
ただ、高いオーブンを買わないと出来ないのか?と言われると、
全然安いオーブントースターでも出来るので、わざわざ高い電気オーブンを買う必要はないと思います。
むしろ、重要なのは、ちゃんとしたタイマーや実庫内温度計で正確に温度や時間を測るほうが良いかと思います。
まー、無くても、何度も違う温度で焼きまくってたらそのうち分かるかと思いますが。笑
そして、各オーブンのクセを見抜きましょう~
焼成中はピエがよく出たのに、オーブンから出したらピエがしぼんだ!?なんで?
焼成初期段階で、ピエが出たのに萎んだ!?なんで?
そんな経験はありませんか?
生地の中のメレンゲや、純粉糖が完全に焼き固まるのは、
オーブン温度にもよるけど、焼成工程で
160~150℃スタート その後 温度一定なら10分~13分後くらいかと思う。
160~150℃スタートで、ピエが出た後130℃に落としたなら、20分後くらいに生地は焼き固まると思う。
ピエが出た直後くらいでは、まだまだ純粉糖は焼き固まっておらず、
生地は凹んだり、しぼんだり、まだまだ気が抜けませんね
半生焼けでも冷凍庫に入れたらクッキングシートから剥がれるけど、
半生焼けの場合だと、ピエが完全に焼き固まっていないので、下がりやすい。
なので、重要なのは、ピエが下がって来ないように、ドアオープンを怠らず、
実庫内温度が下がらないように蒸発ガスを抜き、
ピエの乾燥を促進させて、しっかり焼き固める事
ピエの高さを出すには、結局どうすればいいの?
↑ここで、再度このピエが出る時の図を見て欲しいですが、
僕が思う上記の理論から、もう見てわかるかもしれませんが、
結論を言うと、
マカロンコックの純粉糖の配合分量を上げれば、ピエが出る量は上がります。
ピエで特に重要なのはアーモンドプードルの量と純粉糖の量だと思います。
グラニュー糖が多いと表皮がベトつくので、入れ過ぎは注意です。
卵白:アーモンドプードル:粉糖:グラニュー糖=1:1:1:1でもピエは出ます。
ただ、焼いた瞬間はピエがグッと出ますが、冷めると、しぼんでピエが低いマカロンになりやすいので、しっかり焼き固めることが大切。
または、粉糖の量を10%~20%くらい、少し多くしてみて、作ってみてください。
卵白:アーモンドプードル:粉糖:グラニュー糖=1:1:0.9:1.1とか
この前後ぐらいの比率が丁度良い気がします。
粉糖の量を卵白量に対して1.0倍→1.1倍→1.2倍→1.3倍と増やしていくと、ピエのはみ出る量がどんどん上がると思います。
1.3倍くらいだと出過ぎなくらいだと思います。
なので、1.1倍~1.2倍くらいがオススメかなぁ~と思います。
ただし、粉糖のみだけ配合比率を上げると、ピエは出るけど、ピエが出た分、中身の生地の密度が少なくなって、空洞化が広がるかもしれません。
なので、その分グラニュー糖や、アーモンドプードルの量も少し上げておいた方が、空洞化は防げるとは思いますが、
入れすぎると、今度はピエが出過ぎてシルエットが悪くなります。
純粉糖は、結局、どれくらい入れればいいの?目安は?
ということで、ここは、87回目マカロンの実験結果です。
マカロンのセオリー黄金比率は、卵白:アーモンドプードル:粉糖:グラニュー糖=1:1:1:1ですよね。
これでもピエは出ますが、もっと出したい!でも粉糖を卵白量に対して130%まで上げると、ピエが出過ぎてダサかった。
ということなので、その粉類を卵白量に対して110%にしてみました。
そしてさらに、
純粉糖とグラニュー糖の比率を
卵白量100%に対して、純粉糖120% グラニュー糖100% (グラニュー糖の10%を減らして、粉糖をさらに10%上げて20%UPにしてみた)
にすると
こんな感じのピエになりました
基本はセオリーの比率は、卵白:アーモンドプードル:粉糖:グラニュー糖=1:1:1:1
これでもいいけど、純粉糖の入れる目安は、
粉糖を10%〜30%くらいの間で増やして、グラニュー糖の量を若干、減らせば、
とりあえず、ピエの高さは変わると思います。
卵白量だけ若干減らしてもOK
マカロナージュや卵白、焼成など各工程が正しいことが前提ですが。
アーモンドプードルの最適配合量と空洞化については、まだまだ実験と検証が必要です。
また記事にしようかと思います。
適度にセオリー比率前後で粉糖を多くして、グラニュー糖を減らすくらいが丁度いいかと思います。
空洞化については、オーブン温度と下火温度が重要かな〜と思います。
マカロンのピエが出ない!?失敗の原因とピエの原理を徹底解説!まとめ
- ピエとはフランス語で足の意味
- ピエはアーモンドプードルの量と粉糖の量に影響されやすい
- ピエは卵白の水分を吸って、下方向に移動する
- ピエが低い原因は粉糖の量が少ない事が原因
- ひび割れると内部の密度が下がってピエは出にくい
- ピエは、粉糖を多くするとピエの高さが上がる
- ピエが出た分、空洞化に注意
- ピエを高くするには、アーモンドプードルと粉糖の量を上げる
今回の記事内容については、僕もまだまだ検証中なので、
今後もたくさんマカロンを作ってみて、
粉類の配合分量を変えてみて、
僕が考えたこの理論を実験して
検証してみようと思いますが、
この記事の内容が正しいかどうかわかりませんので、絶対に転写などしないようお願い致します。
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よろしくお願い致します🙇♂️💦