マカロン作りにおいて、最も重要な卵白とメレンゲの関係について
マカロン作りで最も大切な素材とは?
マカロンコックは、基本的には
- 卵白
- グラニュー糖
- 粉糖
- アーモンドプードル
この4つの素材から構成されています。
その中で、マカロンを作るときに最も重要な素材は
卵白とアーモンドプードルです。
卵白の状態を把握し、正しいメレンゲが作れないと、マカロナージュで失敗してしまい、上手なマカロンを作ることはできません。
その為、今回のテーマは「卵白」についてのお勉強です!
アーモンドプードルについては、こちらの記事を参照ください。
マカロン に最適な卵白についての考察
卵の基礎知識とマカロン用の卵白について
お菓子作りにおいて卵は、無くてはならない大切な存在
泡立てた卵を含む生地は、焼いたり蒸したりして熱を通すことで凝固し、
ケーキなら小麦粉や砂糖の成分が支えて形を保ってくれます。
全卵を混ぜて、ジェノワーズ(ケーキのスポンジ)にしたり、卵白と卵黄を分けて、
ビスキュイ(ティラミスとか)にしたり、シフォンケーキを作ったり、
卵の使い方は色々ありますが、
ここではマカロン の作り方をテーマにしているので、
マカロン用のメレンゲについて考察します。
卵白の起泡性・気泡の安定性について
卵白の起泡性とは
卵白は、混ぜると、タンパク質が空気を抱き込んで泡立ち、お菓子の生地を膨らませてくれる性質があります。
これが「卵白の起泡性」です。
卵白の安定性とは
卵白を泡立てた泡は、基本的に消えにくい性質がありますが、
マカロナージュするために、より消えにくくしたいので、
「気泡の消えにくさを安定性」と呼びます。
卵白が冷えているときほど、キメが細かい → キメが細かい=気泡が小さい=気泡が割れにくい=安定性が良い
卵白が常温の方が、冷温時より、起泡性が良く、安定性は冷温時より悪い
気泡の安定性は砂糖を加えることで、
糖分が気泡をコーティングしてより安定させることができます。
メレンゲに卵黄が混じると?
マカロン用のメレンゲを立てる時、
卵を割って、卵黄と卵白を分けるときに、
卵黄が少し入ってしまったまま泡立てると、
泡立たないことはありませんが、泡立ちが弱くなります。
その理由は、
卵黄には脂質が含まれており、油脂には消泡作用があるので、
泡立て器やボウルに油分や卵黄がついていると泡立ちが悪くなります。
なので、卵を割って卵白を取り出すときは、卵黄が混じらないように注意しましょう。
卵の共立てと、別立て
余談ですが、卵黄は脂質が含まれるから泡立ちが悪くなるのですが、
とはいえ、まったく泡立たないわけではなく、
卵黄に含まれるほかのたんぱく質や、
卵黄に含まれるレシチン(乳化作用のある脂質の一種)などが脂質を覆っているため、
メレンゲほどではないにせよ、なんとか泡立って、
ジェノワーズ(ケーキのスポンジ生地)や、アイスクリームが作られます。
ちなみに、卵黄と卵白を分けて泡立てる場合は別立てと言って、
ビスキュイや、シフォンケーキなどに使われます。
マカロン用の卵選びについて
マカロンに使用する卵白は、新鮮でフレッシュな卵白ではなく、
ちょっと古い卵白(水様性(水溶性)卵白)が適しています。
マカロン用の卵白は、コシのある新鮮な卵はあまり適しません。
古い卵でOKですが、使いたいときに無ければ、新鮮な卵でも可能です。
賞味期限を気にされる方が多いかと思いますが、
マカロンコックは160度~190度くらいで焼くので、
多少過ぎていても、よほど古いものでない限り問題ないでしょう。
マカロンは水溶性(水様性)卵白を使う
卵は、時間(鮮度)の経過と共に、卵の中身が変化します。
その中でも特に変化するのが卵白だと言われています。
産みたての卵は、プリっとコシ(弾力)のある「濃厚卵白」と
サラっとした「水様性卵白」に分かれており、
これが混ざり合っておらず、分れた状態です。
産みたての卵は「水様卵白」と「濃厚卵白」の割合がほぼ同じですが、卵が古くなると、
粘度の素になるたんぱく質(オボムチン)のコシが弱くなり、
濃厚卵白が少しづつ水様卵白に変化していきます。
卵白は徐々にハリが無くなり、水っぽい水様性卵白に変化していきます。
(25度の室温で約2週間貯蔵した場合、濃厚卵白の約半分が水様化すると言われています。)
コシが無くなった、水様性の卵白を使うことで、
卵白の表面張力が弱まって、
外に広がろうとする力(起泡性)が上がります。
濃厚卵白 | 水様性(水溶性)卵白 |
濃厚卵白は粘度とコシが強く、表面張力が強いので、泡立ちにくいが、気泡が安定し易い。イタリアンメレンゲでムースなどに向いている。 | 粘度が弱く、表面張力が低いので、空気を抱き込みやすく、泡立ち易い しかし、コシがないので出来た気泡の安定性が悪い。 安定性が無いので、出来たメレンゲをすぐに焼く必要があります。焼き菓子などのメレンゲに向いている。 |
マカロン作り用の卵白は1週間くらい寝かせるのが理想です。
マカロンを作る1週間前に卵を割って卵白だけをボウルに取り出し、卵白のグラム数を測り、
ラップをして、ナイフなどの先端で数か所ラップに切り目を入れて、
冷蔵庫で2日から1週間ほどそのままにして、
卵白の弾力を失わせた水溶性卵白を用意すると良いです。
使用時は冷蔵庫から出しておき、常温で使用しましょう。
マカロン用の卵白は、常温の卵白を使う?
マカロン用のメレンゲ作りで、マカロナージュで失敗しないようにするために、
注目すべき点は、卵白の起泡性と安定性だと思います。
通常、スイーツやお菓子作りで使用する卵白は、
だいたい、冷蔵庫で冷やした冷たい卵白を使用することが多いですが、
それは、衛生的にも、メレンゲのキメ細かさ的にも気泡の安定性も、
冷したほうが良いからだと思います。
しかし! マカロン作りにおいてはそうはいきません。
冷蔵庫で保存した温度の低い卵白は、
常温の卵白よりも、泡立ちにくくなる性質があります。
卵白の性質
- 卵白は温かいほど泡立ちやすく(ただし凝固しない温度)ボリュームもでやすいけれど、安定性が低くなる
- 卵白が冷たいと、温めた時ほどのボリュームはないのですが、キメの細かい(気泡の小さい)安定性の高い気泡ができる
常温にすることで、卵白の泡立ちが良くなり、
気泡の量が増えマカロナージュがやりやすくなります。
ただし、冷えている卵白より常温の卵白の方が、気泡の安定性は下がります。
その為、気泡の安定性を上げる為に、
成功率が高いイタリアンメレンゲを使用しましょう。
卵白の鮮度と温度 | 冷温の卵白 | 常温の卵白 |
新しく新鮮な卵 濃厚卵白 コシが強く、泡立ちにくい | 濃厚卵白のコシがあり、起泡性が悪い(泡立ちにくい)が、キメは細かい(気泡が小さい) 安定性(泡の消えにくさ)は常温より良いが、ピエが出にくかったり、ピエの高さが低いかも | コシがあり、起泡性が悪い(泡立ちにくい)が、冷温時よりは泡立ち易く、安定性(泡の消えにくさ)は冷温時より劣るので、マカロナージュで失敗しやすい |
産んでからちょっと古い卵 水様性卵白 コシが弱く 新鮮な卵より泡立ち易い | コシが無く、表面張力が低いので、起泡性が良いが(泡立ち易い)常温時に比べると泡立ちにくい。安定性は常温よりは良い | 泡立ちが良く、マカロンを作るのに最適 冷感時より安定性は劣るが、最もマカロナージュで失敗しにくく、マカロナージュし易い
|
常温の古い水様性の卵白を準備する
というわけで、卵白の腰を切る為に、
卵を割って、冷蔵庫数日冷やしておくべきなのですが、
家庭で楽しむ場合、次の仕事の休みなどを予測しなければなりません。
なので、卵白は冷凍状態にしておくのがお勧めです。
ただ、使用したいときに常温に解凍しなくてはならない点が
注意点と手間ですけどね。
メレンゲのコシを切るには冷やすのか、温めるのか、湯せんするか
メレンゲのコシを切る為に、冷蔵、冷凍してコシを切る方法もありますが、
むしろ温めて泡立てる方法もあります。(スイスメレンゲとか)
目的はどちらも同じ、温めるか冷やすかしてコシを切る=卵白のたんぱく質などの膜を破壊して、泡立ちやすくするためです。
ただ、スイスメレンゲで、湯銭して泡立ててもいいけど、
冷凍したほうが使い勝手が良いかなーと思います。
個人的には、マカロナージュか、焼き加減で失敗する可能性が高いので、
その失敗を先読みして、たくさん水様性卵白を用意しておき、
必要分量をメレンゲにして使う方をお勧めします。
リカバリー用卵白ですね(笑)
なんにせよ、マカロンを作るのには水様卵白を使いましょう!
新鮮な卵を使用しなければならない場合は、一度割って、
冷凍してコシを切って解凍した卵白を常温に戻して使うか、
割って、2~3日冷蔵または、常温保存して使いましょう
。
時間があるなら、割ってから1週間ほど冷蔵庫で保存しておき、
使用時に常温にして使いましょう。
マカロン作りにおける卵白とメレンゲについての個人的な意見
とはいえ、卵白の冷間使用か常温使用か、
新鮮な卵白を使うか、古い卵白を使うかというのは、
ネット上では様々な情報が飛び交っており、賛否両論あると思います。
- 水様性卵白は泡立ちは良いけど、安定性が低いからダメだとか、
- 新鮮なものは泡立ちは悪いけど、安定性が良いからこちらとか、
- そもそも日本の卵はたいしてコシが強くないので、すぐに割っても問題ないとか、
- 常温より冷蔵の方がしっかりしているとか・・・
個人的には、いろいろ試したけど、
古い水様性卵白を常温で使うことがベストだと思います。
古い水様性卵白を常温で使うと何が違うかというと、
メレンゲの気泡量が多いので、メレンゲに粉類を入れて、
マカロナージュするまでの間の、生地とメレンゲが良く混ざり合ってくれるので、
そこからのマカロナージュの感覚が掴みやすい気がします。
でも、もっと大きな要因(マカロナージュに失敗しやすいか、成功しやすいかどうか)は、
ぶっちゃけ、卵白の状態より、
スタンドミキサーの使用がかなり影響していると感じます。
キッチンエイドのプロフェッショナル600のパワーがとてもパワフルなので、
正直、どんな卵白だろうと、圧倒的な撹拌力で最も失敗が少ないと思います。
新鮮な卵白がどうとか、水様性卵白がどうとかよりも、
キッチンエイドのスタンドミキサーを使用すれば解決じゃね?って思います。
というわけで結論
卵白は、なんだかんだいいつつも、スタンドミキサーを使えば、正直、なんでもOK
キッチンエイド最強!プロフェッショナル600イチ択でOK
これが僕の結論です。(笑)
持っていない人は、迷わず即購入しましょう!
あなたの人生が圧倒的に豊かになります。(笑)
買わない理由なんてどこにもありません(笑)
悩む必要なんてないんです。
ポチればいいんです。
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マカロン作りにおけるメレンゲについて
マカロンを作るときにのメレンゲの作り方は大きく分けて3つあります。
- イタリアンメレンゲ
- フレンチメレンゲ
- スイスメレンゲ
ぶっちゃけ、どれが正解かという答えは無く、どれでもいいと思いますが、
ピエールエルメや、多くのパティスリーが、イタリアンメレンゲですね。
フレンチの方が触感は良いけど、難しいと言われています。
スタンドミキサーを持っていない ハンドミキサーで作るマカロンは
スイスメレンゲが良いと思います。
でも圧倒的シェアが高いのはイタリアンメレンゲ派だと思います。
マカロンはイタリアンメレンゲが良いと言われる理由
メレンゲの気泡を熱いシロップで包み込んで、気泡の安定性を上げてくれます。
なので、マカロナージュで失敗率が低いので、いつもクオリティ高いマカロンを維持しやすいと思います。
ひと手間かけた方が美味しくできる気がするのは僕だけかな?
メレンゲ作りでグラニュー糖を入れるタイミング
メレンゲを作るときに、一番重要なポイントは卵白の温度とグラニュー糖を加えるタイミングかと思います。
卵白に対してグラニュー糖の割合と加えるタイミングによって、卵白の安定性が変わってきます。
卵白に対してグラニュー糖の割合が、半割(砂糖の量が卵白の50%)か~同割(砂糖と卵白が同量)かで砂糖を加えるタイミングが違うと思います。
グラニュー糖を加えるタイミング
メレンゲを作る時、まず初めはグラニュー糖無しで中速レンジで卵白のコシを切ます。
コシが切れて少し泡立ちはじめたら、1/3~半量のグラニュー糖を加えます。(入れるタイミングを2~3回に分ける)
初めに一気に入れてしまうと、気泡の泡立ちを阻害してしまう可能性があります。
キッチンエイドのスタンドミキサーは強力で、ハンドミキサーよりも圧倒的に早くメレンゲがしっかり8分立てピン立ちに達します。
やり過ぎると離水レベルに達するので注意が必要です。
イタリアンメレンゲでシロップを作るときは、115度くらいになってから、スタートONで良いレベルかと思います。
というわけで、
マカロン作りで最も重要な卵白とメレンゲについて徹底解説 まとめ
マカロンを作るときに最も重要な素材は卵白とアーモンドプードル
タンパク質が空気を抱き込んで、泡立ち、お菓子の生地を膨らませてくれる性質があります。これが卵白の起泡性 気泡の消えにくさを安定性と呼ぶ
マカロンに使用する卵白は、新鮮でフレッシュな卵白ではなく、ちょっと古い卵白(水溶性(水様性)卵白)が適しています。
コシが無くなった、水溶性の卵白を使うことで、卵白の表面張力が弱まって、外に広がろうとする力(起泡性)が上がります
マカロナージュか、焼き加減で失敗する可能性が高いので、
その失敗を先読みして、たくさん水様性卵白を用意しておき、必要分量をメレンゲにして使う方をお勧め
卵白はぶっちゃけ、キッチンエイドがあればなんでもOK 悩み解決!プロフェッショナル600イチ択でOK
メレンゲ作りはキッチンエイドありなら、イタリアンメレンゲがお勧め 熟練者はフレンチメレンゲ
ハンドミキサー派はスイスメレンゲがオススメ